
コーピングとは?種類と企業での導入例を紹介
ストレス社会と言われる現代において心身ともに健やかでいるために、ストレスに対処し良い方向に転換させるコーピングが注目を集めています。
企業においても、社内教育としての導入や、組織体制づくりに取り入れることで社員のパフォーマンス向上につなげる重要なテーマです。
この記事では、そもそもコーピングとは何なのか、どのように取り組めば良いのかといった基礎知識や効果的な取り入れ方についてご紹介していきます。
目次[非表示]
- 1.コーピングとは
- 1.1.コーピングが注目される背景
- 2.ストレスコーピングで対処する「ストレス」とは
- 2.1.ストレスとストレッサー
- 3.ストレスコーピングの3つの種類
- 3.1.問題焦点型コーピング
- 3.2.情動焦点型コーピング
- 3.3.ストレス解消型コーピング
- 4.企業ができる具体的な導入例4選
- 4.1.①オフィス環境の改善
- 4.2.②イベントの開催
- 4.3.③研修やeラーニングの実施
- 4.4.④1on1ミーティングの導入
- 5.まとめ
コーピングとは
コーピングとはストレス反応に対処することであり、英語ではCopingと書きます。
これに対して、ストレスの基(ストレッサー)にうまく対処しようとすることをストレスコーピングと言い、現在注目されているテーマです。
コーピングが注目される背景
日本では仕事に対してストレスを抱えている現代人が多いことから、コーピングに対する注目度が高まっています。
平成29年に厚生労働省より発表された「労働安全衛生調査」の報告書によると、「仕事や職業生活に強いストレスとなっていると感じる事柄がある」という労働者の割合は58%となっており、全体の半分以上の割合の人が仕事上でのストレスを抱えていることがわかっています。
ストレスが過度にかかると、うつ病や適応障害、脳梗塞などのリスクが高まり、心身共に不調を来してしまう恐れがあり、また、仕事のパフォーマンスにも影響します。
このような現代社会を背景として、個人のみならず企業においてもコーピングが注目されています。
ストレスコーピングで対処する「ストレス」とは
ストレスとストレッサー
「ストレス」はよく聞く単語ですが、ストレスとは何で、コーピングで対処するストレスとはどんなものなのでしょうか。
私たちがストレスを感じるもとになる環境や外部からの刺激のことを「ストレッサー」と呼びます。
そして、ストレッサーに対する人間の本能的な防衛反応が「ストレス」です。
ストレッサーには主に「物理的ストレッサー」「化学的ストレッサー」「心理・社会的ストレッサー」の三種類があります。
ちなみに、「物理的ストレッサー」とは、音や光、温度など、外部環境からの物理的な刺激のことを指します。「騒音」「まぶしい」「暑い・寒い」といったことが「物理的ストレッサー」に該当します。
これらのストレッサーとストレスを総称して「ストレス」と呼称することが多いです。
ストレスコーピングの3つの種類
ストレスコーピングには、大きく分けて「問題焦点型コーピング」「情動焦点型コーピング」「ストレス解消型コーピング」の3種類があります。
問題焦点型コーピング
「問題焦点型コーピング」とは、ストレッサーそのものに働きかけて、それ自体を変化させて解決を図ろうとする方法です。問題を具体的に分解し、解決するための具体的な行動をすることを特徴としています。
例えば対人関係がストレッサーである場合、相手の人に直接働きかけて問題を解決しようとすることです。
ストレッサーそのものが対処によって変化可能な場合に適している方法で、ストレスの原因を根本的に取り除くことにつながりますが、原因の解消のために自分自身が頑張り過ぎて疲弊してしまうことが懸念されます。
情動焦点型コーピング
「情動焦点型コーピング」とは、ストレッサーそのものに働きかけるのではなく、それに対する考え方や感じ方を変えようとする方法です。
例えば対人関係がストレッサーである場合、それに対する自分の考え方や感じ方を変えて対処する方法です。
ストレッサーが対処によっても変化可能でない場合に適していますが、ストレスの原因の根本的な解決にはならず、常にストレスと向き合っていく必要があります。そのため、問題焦点型コーピングも取り入れながら、環境改善と精神的苦痛の緩和を併せて取り組むことが必要でしょう。
ストレス解消型コーピング
「ストレス解消型コーピング」とは、ストレスを感じた後に、問題から離れたりストレスを体の外へ追い出したりして発散する方法で、普段から無意識に行っている場合が多い行動です。
例えば、買い物やスポーツなど自分の趣味や好きなことをして気晴らしをすることや、マッサージやアロマテラピーなどのリラクゼーションを受けることでストレスを発散するといった行動がストレス解消型コーピングに該当します。
企業ができる具体的な導入例4選
企業でもストレスコーピングを上手に取り入れることで、従業員のストレスを軽減することができます。具体的にどのように取り入れれば良いか、4つの導入例をご紹介します。
①オフィス環境の改善
仕事に集中できる環境や、必要なときに気軽に周囲とのコミュニケーションがとれる環境は、社員にストレスを感じにくくすることができます。
具体的には、静かで集中して作業ができる専用スペースを配備したり、逆に気軽に雑談ができるコミュニケーションスペースを設置したりすることがあげられます。
②イベントの開催
職場の人や普段は接することのない会社の人との親睦が深まれば、ストレスを感じにくくなり、ストレスの解消にもつながります。
就業時間外であればプライベートな話もしやすく、相互理解にもつながります。
例えばランチ会の実施は、親睦が深まるだけでなく、仕事の気晴らしにもなるでしょう。
③研修やeラーニングの実施
社員本人にコーピング手法を学んでもらうことも重要です。そのためにも、研修やeラーニングで学びの機会を提供することをおすすめします。
定期的に繰り返し学べる機会をつくることで、社員のコーピングへの理解や定着につながります。
また、社員の育成研修の一環として実施すれば、社員が健やかに働ける環境整備に取り組む会社というメッセージにもなり、会社自体のプラスのイメージにもつながります。
④1on1ミーティングの導入
コーピングのひとつの方法として、誰かに相談することがあります。相談が気軽にできる場として1on1ミーティングを定期的に実施することも効果的です。
1on1ミーティングとは一般に、上司と部下が1対1で面談をし、部下が抱える悩みや課題などを共有する場です。
ここで重要なのは、部下が話すことに主体がおかれていることです。
上司には部下の気持ちや悩みに寄り添うことが求められているため、部下にとっては日々の業務で感じたことや解決したい問題など、幅広く自身の状況や感情を話せます。
部下は1on1ミーティングを通して感情や問題の整理がつきやすく、前向きな意識への転換やストレスの軽減が可能です。
まとめ
この記事では、コーピングについて以下の内容で解説しました。
● コーピングが注目される背景
● コーピングの3つの種類
● 企業におけるコーピングの4つの導入例