
ウェルビーイング経営と健康経営を徹底比較!対象・目的・施策・効果などの違い
国による働き方改革の推進に伴って、ウェルビーイング経営や健康経営に取り組む企業が増えてきました。
いずれも従業員と企業にメリットを生む可能性がある経営戦略ですが、両者には細かな違いがあります。
自社でどの経営戦略を採用するか決めるためには、それぞれの違いを把握しておくことが重要です。
この記事では、ウェルビーイング経営と健康経営の概要と違いについて詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.ウェルビーイング経営とは
- 2.健康経営®とは
- 3.ウェルビーイング経営と健康経営の違い
- 3.1.①対象(視点)の違い
- 3.2.②目的の違い
- 3.3.③達成によって得られる効果
- 3.4.④施策の違い
- 3.5.⑤効果(メリット)の違い
- 4.まとめ
ウェルビーイング経営とは
ウェルビーイング経営とは、従業員の肉体や精神面、社会的な面などが満たされるように環境を整え、従業員のモチベーションやエンゲージメントを向上させることを目的とした経営戦略です。
厚生労働省『雇用政策研究会報告書』によると、ウェルビーイングは以下のように定義されています。
「就業面からのウェル・ビーイングの向上」とは、働き方を労働者が主体的に選択できる環境整備の推進・雇用条件の改善等を通じて、労働者が自ら望む生き方に沿った豊かで健康的な職業人生を送れるようになることにより、自らの権利や自己実現が保障され、働きがいを持ち、身体的、精神的、社会的に良好な状態になることを指す。
ウェルビーイング経営は、従業員の健康ばかりではなく、働きがいや生きがいにまで焦点を当てた取り組みで、適切に実践することで従業員の満足度やエンゲージメントの向上が期待できます。
また、従業員の満足度やエンゲージメントが向上することは離職防止にもなり、新たな人材確保にも役立ちます。
健康経営®とは
健康経営とは、従業員の健康を経営的な視点で考え、戦略的に実践することをいいます。NPO法人健康経営研究会は、2006年に健康経営を以下のように定義しています。
健康経営とは「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味しています。(NPO法人健康経営研究会「健康経営とは」より)
従業員の心身や健康管理に積極的に会社が投資し、長く健康に働いてもらうことが健康経営の目的です。
適切に実施することで業務効率や生産性の向上だけではなく、経済産業省などによる認定制度によって社外へのアピールも可能なため、企業イメージの向上も期待できます。
健康面の施策を単に実施するのではなく、経営戦略として全社的に取り組むことが健康経営の特徴です。
ウェルビーイング経営と健康経営の違い
ここでは、ウェルビーイング経営と健康経営の違いを紹介します。
①対象(視点)の違い
ウェルビーイング経営と健康経営の対象(視点)には、以下のような違いがあります。
- ウェルビーイング経営:従業員の身体的、精神的、社会的な満足度
- 健康経営:従業員の心身の健康
ウェルビーイング経営は従業員の身体や精神だけではなく、社会的な満足度まで対象としており、従業員の健康と幸福度に重点を置いています。
一方で、健康経営は従業員の心身の健康を対象としており、どちらかといえばウェルビーイング経営の方が広い視点で従業員の健康を捉えています。
②目的の違い
ウェルビーイング経営と健康経営の目的には、以下のような違いがあります。
- ウェルビーイング経営:経営に関わる関係者全員の満たされた状態の追求
- 健康経営:従業員の健康を通じた企業価値の向上
ウェルビーイング経営は従業員の健康や幸福だけではなく、組織の満たされた状態をも目的としており、従業員の幸福度を向上させることでその先にある会社の存在意義を達成することが本来の目的です。
一方で、健康経営は従業員の健康を通じた企業価値の向上が目的であり、従業員に投資することで生産性が向上し、最終的に業績が上向くことで投資家などの外部へアピールができると考えられています。
③達成によって得られる効果
ウェルビーイング経営と健康経営の達成することによって得られる効果の違いは以下のとおりです。
- ウェルビーイング経営:人間関係・労働環境の改善による離職率の低下、優秀な人材の流出防止、組織としての満たされた状態の実現 など
- 健康経営:従業員の疾患・疾患率の低減、医療費の軽減、従業員の健康維持、欠勤率の低減、長期休業者数の減少、定着率の向上、組織活性化 など
それぞれの経営戦略から得られる効果には重複している部分も大きいですが、いくつか異なる点があります。
ウェルビーイング経営では主に従業員の離職防止や人間関係の改善など、組織として満たされた状態の実現に向けた効果が得られるのに対して、健康経営では主に従業員の疾患率の低下や医療費の軽減など、従業員の健康維持中心の効果が得られます。
④施策の違い
ウェルビーイング経営と健康経営には、以下のような施策の違いがあると考えられます。
ウェルビーイング経営 |
健康経営 |
・1on1ミーティング |
・定期検診の受診率向上 |
ウェルビーイング経営は、社内の人間関係やコミュニケーションなど、職場環境を中心とした施策が特徴です。
一方で健康経営は、定期健診や再検査率の向上、ストレスチェックなど、従業員の健康を中心に捉えた施策が特徴です。
⑤効果(メリット)の違い
ウェルビーイング経営と健康経営の効果の違いは、主に以下のとおりです。
- ウェルビーイング経営:離職防止、求職者へのアピール、人的資本情報開示やSDGs推進への寄与 など
- 健康経営:医療費の削減、ブランドイメージの向上、人材確保への寄与 など
組織の満たされた状態を目指すウェルビーイング経営と企業のイメージ向上や人材確保を目指す健康経営は、企業と従業員双方にとってメリットがあります。
いずれも経営戦略として優れているため、企業ごとに戦略を組み合わせながら最適解を作ることが大切です。
まとめ
この記事では、ウェルビーイング経営と健康経営について以下の内容で解説しました。
- ウェルビーイング経営とは
- 健康経営とは
- ウェルビーイング経営と健康経営の違い
組織の満たされた状態を目指すウェルビーイング経営と、従業員の健康を経営的な視点で考える健康経営はどちらも優れた経営戦略です。
いずれも得られる効果には共通点がありますが、そもそもの対象や目的が異なります。
どの経営戦略を採用すべきかは会社の方針やニーズ、将来的なビジョン次第であるため、どちらを選んでも正解といえます。
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