
人的資本経営の推進で採用が有利に?新卒・中途の採用活動を強化する方法を紹介
会社の価値を高める取り組みとして、人的資本経営が推進されています。
人的資本経営は従業員のスキルやモチベーションの向上、会社の成長などさまざまなメリットがありますが、採用活動でも有利になる可能性があります。
この記事では、人的資本経営が求められるようになった背景や採用で有利になる理由、採用活動を強化する方法などについて詳しく解説します。
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人的資本経営の推進が求められる背景
人的資本経営とは会社の従業員を資本として捉え、一人ひとりのスキルやモチベーションを向上させることで会社の価値を高めることを目的とした経営手法です。
経済産業省が発表した「人材版伊藤レポート」および「人材版伊藤レポート2.0」によって人的資本経営の重要性が強調され、さまざまな会社で取り組みが活発化しています。
また、近年における少子高齢化、生産年齢人口の減少による人材確保難も人的資本経営の重要性が見直される要因となっており、人材の維持と確保の観点からも有用な取り組みとして考えられています。
人的資本経営は、日々変化し続ける外部環境の変化に対応して企業価値を高めていくためにも必要な取り組みであり、人材に投資してその価値を最大限引き出すことが大切です。
上場企業に関しては、有価証券報告書にてその実態(戦略、指標、目標 など)を開示する義務が課せられています。
人的資本経営の推進が採用で有利になる理由
ここでは、人的資本経営の推進が採用で有利になる理由を3つ紹介します。
①会社のブランド価値が向上する
人的資本経営の推進をすることで、会社のブランド価値を向上させることが可能です。
人的資本経営を対外的に発信することで、会社のブランディングにつながり、競争力がある、自分が成長できるホワイトな会社であることをアピールできます。
②多様な働き方を求める人材確保につながる
近年では、テレワークやフレックスタイム制など多様な働き方を求める人材が増加傾向にあります。
人的資本経営を推進することで、多様化する従業員のニーズに答えられるため、従業員エンゲージメントや従業員満足度が高められます。
従業員エンゲージメントとは従業員と会社および所属組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係のことをいいます。
人的資本経営の推進は、ワークライフバランスや働きがいを重視する求職者によいイメージを与えることができます。
③採用ブランディング戦略の幅が広がる
人的資本経営の推進は、SNSなどを活用した採用ブランディング戦略の幅を広げる手段としても有用です。
近年では、スマートフォンやタブレットなどの情報通信機器の普及により、SNSを就職活動における情報収集の手段として活用する求職者が増えています。
人的資本経営の推進により企業価値や働く環境の魅力が増し、SNSを活用することでより多くの求職者にアピールできます。
SNSで企業理念やビジョン、社員の価値観やストーリー、働きやすさなどを発信することで採用活動を強化することが可能です。
人的資本の開示で新卒・中途の採用活動を強化する方法
有価証券報告書を発行している大手企業は、人的資本の情報開示が義務付けられています。
人的資本の情報を開示することは、求職者に加え、投資家やステークホルダーに対して企業の将来性や可能性をアピールするきっかけとなります。
ここでは、人的資本の開示で新卒・中途の採用活動を強化する方法を3つ紹介します。
①情報開示が望ましい項目を理解する
人的資本の情報を開示する場合は、まず内閣官房『人的資本可視化指針』に記載された情報開示が望ましい項目とその概要を理解することが大切です。
同資料によると、情報開示が望ましい項目は以下のとおりです。
分野 |
開示項目(例) |
---|---|
人材育成 |
リーダーシップ、スキル向上 |
従業員エンゲージメント |
従業員エンゲージメント |
流動性 |
採用・離職コスト、定着率 |
ダイバーシティ |
性別や雇用形態による差、育児休業 |
健康・安全 |
医療・ヘルスケアサービスの利用促進、健康・安全関連取組等の説明 |
コンプライアンス・労働慣行 |
労働組合員数、コンプライアンスや人権に関する研修実施状況 |
情報開示は、新卒・中途に対して企業の将来性や可能性をアピールする材料となります。
②5W3Hに当てはめて開示すべき情報を整理する
人的資本の開示をする際は、5W3Hに当てはめることで開示すべき情報が整理できます。
5W3Hとは物事を正確に伝えたい場合に用いられる確認事項の一種であり、以下の項目で構成されています。
質問 |
内容 |
---|---|
Who (誰が) |
活動やタスクを担当する主体、関係者 |
What (何を) |
行うべき活動やタスクの内容 |
When (いつ) |
活動やタスクが実行されるタイミング |
Where (どこで) |
活動やタスクが行われる場所 |
Why (なぜ) |
活動やタスクを行う目的や理由 |
How (どのように) |
活動やタスクがどのように実行されるか |
How much (いくら) |
資金やリソースに関する量 |
How many (いくつ) |
数量や数量に関する情報 |
内閣官房『人的資本可視化指針』に記載された、情報開示が望ましい項目案を基に、学生が知りたい情報を5W3Hのフレームワークに当てはめて整理することでより効果的な採用活動につなげられます。
③ジョブ・キャリア・カルチャーで開示ポイントを確認する
人的資本の開示で新卒・中途の採用活動を強化する場合は、開示している情報が新卒者のニーズに応えらえるか確認することが重要です。
具体的には、ジョブ・キャリア・カルチャーの観点で考えることが大切であり、それぞれの項目の詳細は以下のとおりです。
- ジョブ:職種や業務内容、仕事から得られるやりがいや習得できる専門性 など
- キャリア:どのようなキャリア形成ができるか、育成・研修制度はどうなのか、退職者はどこに転職したのか など
- カルチャー:従業員同士の関係性、職場環境、働き方、従業員がここで働く理由 など
職種や業務内容はもちろんですが、近年では仕事のやりがいや働き方、キャリア形成などを重視する新卒・中途が増加傾向にあります。
また、従業員同士の関係性や職場環境などの社内風土を重視するケースもあるため、新卒・中途が知りたいと思われる情報を分かりやすく記載して開示することが望ましいです。
人的資本経営を目指す・実践する会社の採用活動で重要なポイント
人的資本経営を目指す・実践する会社の採用活動で重要となるポイントは以下のとおりです。
- 組織が求める人材像の再定義(人材ポートフォリオの構築)
- 求職者のニーズに即した人的資本の情報開示
- 経験や能力だけではなく、ダイバーシティを重視した採用の検討
- SNS採用やリファラル採用の積極的な導入 など
人的資本の情報は単に開示すればよいというものではなく、社会や求職者のニーズに即したものでなければなりません。
求められていない情報を開示した場合、採用活動で期待するような効果が得られない可能性があります。
また、情報開示する際はその時点で会社が求める人材像を明確にしておくことも大切です。働き方や社会の動向が常に変化する現代では、会社に必要な人材像も常に変化します。
経験や能力だけではなく、ダイバーシティを重視した採用の検討も重要であり、多様性のある人材にも目を向ける必要があります。
近年ではSNSを利用した採用活動をするケースも少なくなく、さまざまなツールを活用して採用活動を強化することも可能です。
人的資本経営で採用を強化するならA’Uno
人的資本経営を行って新卒者や中途社員の採用を強化するのであれば、まず従業員のエンゲージメント向上を実現することが重要です。
求職者にとって従業員のエンゲージメントが高い会社は、働きやすい、やりがいがある、自分の成長が期待できるなどという一つの指標になります。
従業員のエンゲージメント向上には、さまざまな調査から対策まで実施できるシステム『A’Uno(アウーノ)』がおすすめです。A’Unoであれば、アンケート調査およびデータ収集、従業員のエンゲージメントやメンタルヘルスの可視化・分析をまとめてサポートします。
まとめ
この記事では人的資本経営について以下の内容で解説しました。
- 人的資本経営の推進が求められる背景
- 人的資本経営の推進が採用で有利なる理由
- 人的資本の開示で新卒の採用活動を強化する方法
- 人的資本経営を目指す会社の採用活動で重要なポイント
- 人的資本経営で採用を強化するならA’Uno
人的資本の情報を活用することで、採用活動を有利に運ぶことが可能です。新卒者や中途社員、求職者などが求めている情報を開示することで、より効果的なアピールができます。
現在増加傾向にある多様性を求める人材を確保するためには、従業員エンゲージメントを高めることが大切です。